
私はオーストラリアのある企業の株を長く保有しています。
この企業、正直なところ事業の進捗がとても遅いんです。
コロナの影響もあったとはいえ、当初の計画より4〜5年は遅れているように感じます。
この4〜5年の間に、他の成長企業の株を買っていれば、かなりの利益を得られたはずです。
それでも私は、その株を売らずに保有し続けてきました。
理由は単純で、「多くの投資家が失敗するポイント」を避けたかったからです。
業績が停滞すると、なぜかみんな焦る
株を保有していて、企業の成長が止まったり、業績が悪化すると、多くの人は焦ります。
特に、「計画通りに事業が進んでいない」といったネガティブなニュースが出ると、投資家の心理は大きく揺れます。
私が持っていたA社の株もそうでした。
コロナ禍で筆頭株主が変わるなど、いくつかの大きな変化がありました。
多くの投資家が株を手放したのを覚えています。
焦って株を乗り換える人たち
このような場面で、よくあるのが「株の乗り換え」です。
つまり、「今は低迷しているこの株を売って、調子の良い他の株を買おう」という行動。
理屈はこうです:
- 今持っている株はパフォーマンスが悪い
- 他の銘柄の方が儲かりそう
- 一度売って、他の株で稼いだ利益で、また買い戻せばいいじゃないか
一見、合理的に見えるこの判断。
でも、その思考には見落とされがちな落とし穴があります。
株の乗り換えに潜むコストとリスク
株を売って乗り換える場合、次の点を忘れてはいけません:
- 売買には手数料(スプレッドや税金含む)が発生する
- 乗り換えた株が本当に上がる保証はない
(今の株も「上がると思って買った」はずなのに、予想は外れましたよね?) - 一度売った株が急に上昇したら、同じ株数を買い戻すのに多くの資金が必要になる
- NISA口座を使っていた場合、非課税枠を無駄に消費する可能性もある
もちろん、乗り換えが成功して利益が出ることもあります。
ただ、それは「確実な利益」ではなく、「期待値に賭ける博打」の側面があることも忘れてはいけません。
だったらむしろ、今低迷している株を追加で購入(バーゲン価格)して、将来の利益拡大を狙った方が合理的ではないでしょうか?
不確実な未来にどう向き合うか?
もちろん、どんな株も将来のことはわかりません。
- どのくらい上がるのか?
- いつ上がるのか?
- 本当に上がるのか?
これらはすべて不確定要素です。
でも、「株価が低いタイミングで仕込んだ」という事実は、不確定ではありません。
あなたが将来のリターンを最大化するために、唯一確実にできる行動とも言えるでしょう。
差益ではなく「レバレッジ」で考える
投資というと、「1株いくらで買って、いくらで売ったか」という差益に目が行きがちです。
でも、もう一歩踏み込んで「どれだけの株数を持っているか(=レバレッジ)」を意識することも重要です。
株価が2倍、テンバガー(10倍)になったとしても、その後ずっとその水準を維持する保証はありません。
一方で、少しずつでも業績を積み上げていく企業の株を長期で保有していく方が、投資家としての安心感は大きいはずです。
そのためには、株価が低迷している時にこそ、株数を増やすチャンスだと考える必要があります。
まとめ
- 焦って売るより、持ち続けることでリターンが得られる可能性は高い
- 乗り換えによるコストとリスクを過小評価しない
- 不確実な未来に振り回されるより、今できる確実な行動に注目する
- 株数を増やすという「レバレッジ思考」が長期投資の肝